悲劇としての制作

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概要
作品の制作は取り返しがつかない。染色や掘削、氷の溶解をもとに戻せないだけでなく、たとえば《泉》をただの便器に戻すことができない。オイディプスも告発されるほかない。芸術作品にいう自律は、それが認知や経済や紐帯の形にあらわれる局面もあるにせよ、基本的には世界の離隔にほかならない。  フィクションとは、すでにある別世界を描き取るのではなく、記すことで世界に亀裂をもたらし、離隔することだ。嘘や語りはこの機能の端的な例である。ジョナサン・カラーがオイディプスの悲劇を「収斂」ととらえたように、制作とは、ちまたに言われてるように想像や可能性やを無辺に開くことではなく、ある可能の感触をつかむ羽目になる予言の行為だ。そのため、当然制作は、自分と世界への疑惑から始まる。スタンリー・カヴェルはそれを「復讐」と呼ぶ。
日時
2022年12月3日(土)20時〜21時30分
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