”Writing Without Teachers”ー自己検閲をはずし、自分の「声」で書く技術
受講生にインタビュー🎤
2024年Q1(5月-7月)に実施した本講座の受講生に、講座の感想を聞きました📝
自己検閲とは?自分の「声」は聞けたのか?書くことで何を感じたのでしょうか?
─このクラスを受講したきっかけを教えてください。
高口:タイトルの、『自己検閲をはずし、自分の「声」で書く技術』という部分に惹かれました。「自己検閲」はここ数年、ふとした時に思い出してしまう言葉で、いい加減解放されたかったので受講を決めました。
柳田:自己検閲を外す、というのに興味がわきました。それと、ライティングについてきちんと学んでみることにも関心がありました。
よしのも:文章を書く量と頻度を増やしたかったのと、人からフィードバックをもらいたかったからです。
─柳田さんと高口さんは、自己検閲をはずすことに興味があったのですね。どのようなときに自己検閲を感じていたのでしょうか?
高口:日常生活から何かを表現する時まで、常にそういった意識はあって、それが言葉にすることまで侵食してきちゃう感じはありました。「これはまずいぞ...」と...
柳田:自己を検閲している自覚まではあまりありませんでしたが、自分の思考にバイアスがあるということを感じていました。つい相手(読み手)を意識して、本心とは違うことを書いているという認識はあったので、今にして思えばそれが「自己検閲」ですね。
─このクラスでは、毎回フリーライティングを行う課題がありました。フリーライティングを重ねることで、何か変化はありましたか?
高口:最初のうちは書けば書くほど「あれ、これ全然自己検閲外れないぞ」と焦りましたが、フリーライティングを重ねるうちに「自己検閲から早く脱したい」という別の何かに囚われていたことに気づけました。そういった意味でフリーライティングの“アハ体験”みたいな部分に、マインドが変化させられましたね。
─マインドの変化とはどういったものでしょうか?
高口:フリーライティングの説明で、そんなに肩肘張らずに書くのがいいってIwayaさんが仰っていて。それで、自分の中にあった「書くこと」に対するイメージがどこか「高尚な遊び」からもっと「生活に根差したもの」であるのだと変わっていきました。
─このクラスでは、受講生同士のアウトプットを丁寧に読み、「どの部分が、自分にはどのように響いたのか」を伝え合うフィードバックを行いました。印象に残ったフィードバックはありますか?
柳田:クラスの中で、友人の名前を「Nちゃん」とイニシャルで書いたのをフィードバックで指摘された時に、ハッとしました。あれ?なんでクラスの誰も知らない人の名前を隠しているんだろう?と。そこから、無意識の自己検閲があることに気づいていきました。
Iwayaさんが、それこそ句読点一つまでしっかり読むというのに驚きました。
人によって、文章の手触りが違うことも、他人のライティングを読むことでわかっていきました。手触りを感じることで、この人はこんな風にかけていいな、と羨ましく思ったりしましたが、きっと他の人も私の文章を読んで何かを感じているんだろうな、と思えて、自由にどんどんフリーライティングできるようになりました。今気づきましたけど、それも自己検閲を外すことにつながっていますね。
よしのも:フィードバックのために肩の力を抜いて、相手の文章と自分の反応に注意するのがおもしろかった。普段なら取るに足らないかなと思って気にしない感想みたいなものでもちょっと気にしてみる感じ。Iwayaさんが紙にプリントアウトして、書き込みながら他の人のライティングを読んでいるといっていて、それを真似したら結構良かった。リッパな感想かどうかとか、この感想聞いて相手がどう思うかどうかとかを考えるまえに、読んで浮かんだことを書いちゃおう~ということ。脱力感想。
─互いのアウトプットに真剣に向き合い、フィードバックを重ねることで、場が生まれていったように思います。このクラスは初回のみ対面、以降はオンラインで開催でしたが、クラスの雰囲気はどうでしたか?
高口:フィードバックを互いに行う場所として「心理的に安全なピア・グループ」とIwayaさんが説明されていましたが、回数を重ねるごとに場への抵抗が薄れていったのが印象に残っています。お互いのプライベートな部分がだんだん開かれていって、それが語りになっていって。複数の開かれたプライベートな場が、交わることで生まれる場の特異さに、少し打ちのめされました。
柳田:信頼感というか、心理的な連帯感のようなものを勝手に感じるようになっていました。繰り返し、お互いの文章を読んでフィードバックしあうことで生まれた信頼感だからこそ、そのフィードバックもより素直に受け入れられました。
─最後に、クラスを通じて自分の書きたいこと、書けそうだと気づいたことなど、何か発見はありましたか?
よしのも:とりあえずだらだらドカドカ書き始めてみるのがいいらしいな...と分かりました。クラスが終わってからも、たまに書いたりしています。フィードバックを通して、ティーチャーレスクラスの”批判も褒めもない感覚”を体験できてよかったです。ライティングに対する感想を話すときだけではなく、色々な場面で使ってみよ〜と思いました。物事は動かそうとしなくても動くし、止めようとしなくても止まるから、信頼して任せておこうという感じ。
高口:ずっと、書きたいというか書かなきゃいけないと思い込んでいた物語があって。でも全然書けなくて。「その物語を書く」というのが、このクラスを受講したきっかけの1つでもありました。でも、ライティングとフィードバックを重ねていくうちに、別にその物語を書かなくても自分は生きていくことができると気づくことができました。
何が言いたいのかというと、“書く”言葉と“書きたい”言葉を分別することが、なんとなくできるようになりました。「私が書く/書きたい」ということに自覚的になれて、それによって自分が今いる座標を知れたので、このポジションから何ができるのか、これから探ってみようと思います。
柳田:書くことと考えることの距離が近くなった気がします。今まで、書くとなると少し構えるというか、キーワードはメモするけれど、思考の途中段階を文章として残そうとはあまり思っていませんでした。クラスを通して、書きながら思考するみたいなことができること、またそういう書き方をすることでより思考を深められるということを知りました。今後も、思考がぐるぐるしてしまうような時にはフリーライティングをやってみようと思います。
─全8回のクラスへの参加、ありがとうございます。また次回もぜひご参加下さい。
構成:七瀬 2024年7月28日、30日にオンラインにて収録