(第2期:2023)「アーティスト」実作/発表コース
多様な作り手や表現者を育成。PARAとともに展示・公演・イベントの実施を目指し、プレゼンテーションと相談ができます。
6つのお好きなクラスを受講できます(半年受講の場合は3クラス)
クラス一覧
作り発表する過程をサポート
月4回のミーティング
ミーティングを月4回開催。自作や活動の紹介するプレゼンテーションや、作品づくりや発表に関する相談の機会です。PARA主宰岸井が担任となり、受講者の希望や必要に応じ交渉したゲスト講師を含む指導の下、制作発表のあらゆるテクニックを学べます
相談例
PARA神保町4Fでの展示、公演、イベントを開きたい
プロジェクトに必要な資金を調達したい
共同アトリエやグループ展や演劇公演をつくる仲間を集めたい
院試や留学、オーディション対策や就職など、進路について助言を得たい
PARAに新クラスを開設してほしい(美術史のクラス、インスタレーションのコースなど)
サポート体制
PARAは、表現者を育成するための具体的なサポートの場です。PARA神保町4Fには、制作・展示・公演・イベントに利用するための、コース生のためのスペースが用意されています。プレゼンは本コースの講師全員に共有され、相談ごとにアーティスト・批評家・研究者・スタッフなど必要なゲスト講師が参加します。個別の面談も随時行います
クリエイション環境としてのPARA
PARA4階の平日19時までは本コース受講生のアトリエとして使用できます。打ち合わせ、短期の展示や公演、稽古や制作のスペースとして、コースメンバーで話し合いながら運営していきましょう
ゲスト講師紹介
ゲスト講師は、受講者の希望や必要に応じ、随時交渉します。PARAのクラス講師や様々な専門家など。1期で作品講評のゲストで来ていただき人気だった講師2人からの挨拶をいただきました
「講評の講評」が必要なのではないかと思うくらい、多くの美術大学で講評という機会が有意義に機能していないという現実があります。美術批評家の中原祐介は京都大学大学院理論物理学研究科在籍時に執筆した「創造のための批評」(1955)という評論のなかで、目指されるべき「建設的批評」は「作品の構成、均斉、輪郭、色彩、または、量感、比例、あるいは主題、モチーフをも含めた、要するに作品から与えられるもののみを熟視していて、既成の美学を考慮し、そこから美的価値のみだけでなく、絵画のもつ思想と論理的結論をひきだす」「受動的操作」ではなく、「あたらしい眼を作家と共に発見すること」を目指す「作家の現実認識を深めるような批評」であると主張しました。彼の主張の意義は、いまだに古びていないと思います。みなさんと一緒に「あたらしい眼」を発見していきたいです。よろしくお願いします。
その人は、新宿高島屋の前で、花壇に生えている植物をぷちぷちぬいて食べていました。今から10年前、私がその人に初めて会ったときのことです。「何してるんですか?」と聞くと、「野菜を育てて食べる作品を作ってる」と教えてくれました。その人が、今はPARAという「劇場」を作ってるというので、面白そうだなと思って誘われました。よろしくおねがいします
コース特典
20の多様なクラス
「アーティスト」実作/発表コース受講者へのおすすめクラス
すべての展示・公演プログラムの鑑賞
「アーティスト」実作/発表コースの受講者は、PARAで予定されているすべての展示・公演を鑑賞することができます。また、美学校とPARAの共有スペースを利用することができます。通年なら2023年10月ー2024年9月、半年なら2023年10月ー2024年3月
近日開催予定の展示・公演
2022年のアーティストコースを振り返る
司会:PARAのアーティストコースが何をやっているのかお伝えするべく、受講生に集まっていただきました。まず自己紹介をお願いします。
三毛:三毛あんりです。絵を描いたり、人に絵を描かせたりしています。
平井:平井光子です。2021年から、フリーランスで俳優をしています。
柏瀬:柏瀬克也です。学部生の頃は主に写真について学んでいました。
司会:PARAに通うきっかけを教えてください。
柏瀬:卒業後も制作は続けていたのですが行き詰まりを感じており、別の視点からも改めて見つめなおしてみたいと考えていました。PARAがアートスクールを立ち上げると聞き覗いてみたところ、魅力的なクラスが多くあったことが決め手でした。
司会:平井さんは俳優をしながら、ご自身で公演を主宰されたりもしています。PARA受講の動機はなんですか。
平井:上演していた作品のテーマが「同盟」で、「集団」や「権力」について興味が高まっていたところ、PARAのクラスにそうしたテーマが多く、クラスを複数受ける際はアーティストコースに入った方がお得だったためコースを受講しました。
司会:アーティストコースを受講するとPARAの年間80リリースされるクラスから好きなクラスを選んで安く受講できます。印象に残っているクラスがあれば教えてください。
柏瀬:村上慧さんの「絶対に学びのないゼミ」はとても印象的でした。スクールなのに「学び」がないことを目標にするクラスで、毎回クラスがヌルっと始まってヌルっと終わる感じがなんだか面白かったです。ぼくは2期でも村上さんの「みみず組」を受講しています。
司会:参加してみてアーティストコースの良かったところは何ですか?
柏瀬:やはり集まれる場があるのは重要だと感じました。終わった後のお互い受講者同士で話し合う時間がかなり大事なような気がします。そのあとお茶に行ったり。
アーティストコースに集まっている人たちの表現媒体はバラバラなのですが、お互い「制作をしている」という同じ方向を向いている感じが不思議な距離感と連帯感があって面白く、とても刺激的でした。
平井:他の人の自己紹介が、とても面白かったです。これまで演劇に関わる方と接することが多く、それ以外の分野のアーティストの方々とは接点がなかったのですが、アーティストコースには、絵画・写真・ゲーム・俳句などのそれぞれの分野で活動している方々が集まり、自分の活動を15分に凝縮したプレゼンをしてくれるので、未知の世界を開かれるようでした。
三毛:私も、集まった受講生の方々の自己紹介が多種多様でいずれも印象深かったです。自分のことを語るまでに時間のかかる方も多いのですが、語れるようになるまでじっと待つような空気感があるのが良いところだと思いました。
平井:他の人の作品ややりたいことのプレゼンと講評を聞くのも毎回興味深かったです。
自分の演劇作品がカメラで観客の身体を撮影しリアルタイム合成するものなのですが、写真を中心に創作している柏瀬さんが、見ることの権力について創作のプレゼンをしているのを聞いた時に、自分自身がぼんやりと悩んでいたことが写真の視点から言葉にされていて、発見が大きかったです。
もともと自分自身はアーティストコースで創作やプレゼンは行わない予定だったんです。が、周りの皆さんに触発されて、プレゼン→企画書の作成→広報→試演会と、劇場での上演へと結びつきました。
平井光子さん
司会:三毛さんも既にアーティストとして活躍しています。PARAに通おうと思われたのは何故ですか?
三毛:岸井さんからスクールを始めるとご連絡があったのがきっかけです。岸井さんの作品をいくつか拝見していますが、毎回とてもおもしろいと感じていたので、今度は超大作がみられると思ってうれしかったです。
司会:PARAそのものが岸井作品だと感じたわけですね。
三毛:特に第1期は面白そうだと思いました。
実際に通ってからは、今まで自分が発表してきた絵画の作品で表現したことが、鑑賞者に伝わっていないのではないかという問題に向き合うようになりました。直感的に、この問題に向き合える可能性を感じていたのかもしれません。
三毛あんりさん
司会:アーティストコースに参加するとPARA4階で自分の企画がやれます。やってみていかがでしたか?
柏瀬:自分はよく考え込みすぎて手を動かすことができない性格だったのですが、先へ進むにはとにかく手を動かすしか方法はないと感じました。手を動かしながら考えることの大事さや、展示の場数を踏まないとわからないことがとても多いことがわかりました。個展をやるということは作品だけでなく、告知やコストなどを含めた「展示」それ自体を作ることでもあります。アーティストコースでは展示計画だけでなく「人員」や「コスト」もプレゼンしなければ企画が通らないので、自身のマネジメント能力も鍛えられました。
柏瀬克也さん
三毛:作品の販売を前提としない、スクール内での展示企画ということで、かなり自由にやらせていただきました。PARAでやるならPARAをやろうと考え、PARAを観察しながら企画を立てました。PARAにはオンラインとオンサイトのクラスが混在しており、クラスの他にも企画公演や展示、連続レクチャーなどが毎日のように開催されています。それぞれのコンテンツの印象や構造、備品を作品に組み込んで構成しました。最終的に自分でもまとめきれないものができてしまい、正直力が入りすぎたかなと思いました。この経験を元に今後も企画や展示を重ねて、力を抜いていきたいです。
平井:PARA4階では作品の「試演会」を行い、それを踏まえて本公演を別の場所で行いましたが、ここでじっくりと試演会をさせてもらえたことが、作品を深めるうえでとても重要な鍵になりました。
試演会では特に舞台美術で何が必要かを洗い出し→本公演でよりシンプルに空間を作るのに役立ちました。また「試演」をしてみることで、観客との関わり方に改善が必要だということが分かり、本公演でより望んだ形で(より自由なリラックスした状態で)お客様に観劇してもらうことができました。
司会:アーティストコースをこれから受講する人にオススメポイントなどあれば教えてください
柏瀬:アーティストコースはとにかく「やったもん勝ち」です。プレゼンを通して自分に合った意見やアドバイスをもらえるのはもちろん、外部からの講師も来てくださるので、ぼくのように大学を卒業してからも制作を続けたいけれど、自身の作品に対して疑問を持ってしまっている方にはとてもおすすめしたいです。
平井:PARAには演劇を集団創作したい人向けの【「劇場」は可能か 実践コース】がありますが、一人芝居をつくりたい俳優の人にはぜひ【アーティストコース】もおすすめしたいです。他の分野のアーティストのプレゼンや講評を聞いたり作品をみたりできるので、思考や創作の範囲が広がります。
また、私は3月までのアーティストコースでは、自分の創作に関しては企画書を作り、助成金申請をし、広報の言葉を作る、というところまでをして/コースが終わった後の7月にPARA4階で実際の作品製作と試演会をさせてもらいました。
コースの間は他の人のプレゼンや講評を聞きたい、自分の製作にはいると来れなくなるからもったいない...という方にはこういうスケジュールもありかなと思います。
三毛:自分の今までやってきたフィールドやジャンルから一歩踏み出したいという方にとっては、他にない魅力があると思います。また、自分の専門性を深めたい方にとっても、多角的な視点から力強いサポートを得られるのではないでしょうか。
司会:長時間ありがとうございました!またいつでもPARAに遊びに来てくださいね。
2023年9月25日 司会・編集:PARA
ミーティングを月4回開催。自作や活動の紹介するプレゼンテーションや、作品づくりや発表に関する相談の機会です。PARA主宰岸井が担任となり、受講者の希望や必要に応じ交渉したゲスト講師を含む指導の下、制作発表のあらゆるテクニックを学べます