自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやる方法を、森崎和江を読みながら考える
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クラス紹介
私は今、元は祖父母宅だった一軒家に住んでいます。築40年超なので、色々ガタが来ていて修繕が必要で、リフォームをすることになりました。今まで「新しくつくる!」とか、「何かに反抗して壊す!」とかはわりと馴染みのある事柄でしたが、先人のつくったものを受け継いで、ちょこちょこ手直しして維持する・守るというのは考えたことがありませんでいした。でも自分がだんだんいい歳になってきたことと、子供を産んだことなども関係しているのか、「どうしたら一代主義を超えられるんだろう?」と考えるようになりました。それってどういうことなんだ、と考えて、「共同性を生きたいということだ。そうでないと、虚しい」という言葉が出てきました。それで、「共同性を生きられる〈場〉が必要なんじゃないだろうか」と思うようになりました。
ということで、自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやろうと思うのです。自宅をアーティスト・イン・レジデンスにする、ではなく、自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやる、です。つまり家の住人たち(私と3人の家族)は「アーティスト・イン・レジデンスを運営するための人、それを生きることの主にしている人」ではありません。あくまでこの家はわれわれの生活の場であって、そこを半分ひらき、人を招く。住み続ける住人と、やって来て滞在して去っていく客人のあいだに、現れては消える〈場〉が生まれます。
みなさんには、リフォーム後の西尾家の具体的な間取りや条件を素材に、アーティスト・イン・レジデンスの企画案を考えていただきます。私(と3人の家族?)にプレゼンしていただいて、いい企画は提案してくださった方をディレクターとして、実行したいと思っています。
このアイディアを練っていくに当たって、森崎和江のテクストを毎回の講座の中でみんなで読みます。森崎和江は、1927年に植民地時代の朝鮮半島・大邱に生まれて慶州で育った詩人です。朝鮮の人と風土に育まれた森崎は、敗戦後、自分が(無自覚な)侵略者だったことを知り、「日本人の女」としてどうやって生きていけばいいのかまるで分からなくなります。そして筑豊の炭坑町で労働者たち、中でも女たちと深く関わりながら、ゼロから自前の言葉を紡ぎ、思想を編んでいきます。
炭坑労働者たちとの共闘、女坑夫たちとの共生、あるいはからゆきさんからの聞き書きに見られる〈産むことを許されなかった女たち〉へのまなざし。私は森崎の活動に、隔てられた両側から共同性を生きようとする思想を感じます。ある線引きの向こう側にいる人と共にあろうとすることが、こちら側にいる自分の生きるためにどうしても必要であるという感覚。その実践と、彼女がぶつかった壁、そしてそこに残された問題を、『まっくら――女坑夫からの聞き書き』(1961年)と『闘いとエロス』(1970年)という森崎の最初期の二冊を通して見ていきます。
読むことの共同性と身体性を大事にしたいので、各自で読んできてもらうのではなく、集まってその場で少しずつ音読しながら話しながら読み進めるスタイルを基本にします。各回、森崎和江のテクストを読む2時間+アーティスト・イン・レジデンス構想についてディスカッションする1時間の構成で、5~6月で一冊、8~9月で一冊を、ゲストもお招きして一緒にじっくり読んでいきます。
※課題図書『まっくら――女坑夫からの聞き書き』と『闘いとエロス』および関連テクストは、授業の進行次第で変更になる可能性があります。
回数
8回
定員
10名
価格
30,000円
日程
2023年
5月8日、5月22日、6月5日、6月19日、
8月14日、8月28日、9月11日、9月25日
曜日
月曜日
時間
12:30ー15:30
選抜方法
作文
開講形式
このクラスは対面で行いますが、オンライン受講を希望される方はご相談ください
申込期間
2023年4月1日(土)0時—4月20日(木)24時
申込方法
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