(第2期:2023)2期目ごあいさつ

🪧
ずっと続くと思われていた退屈な日常は消え、みんなが乗れる愉快な代替案もない。革命なき戦争の時代です。つまらないことに付き合う意味もなくなったけど、面白いことも見当たらない。 だから、何かをつくろう、つくれなくても、と思います。そして、つくりたい人が寄れて、興味ある人が立ち合える、小さくても見つけやすい場の必要を感じます。 都心の劇場を目指します。覗きに来てください。
 
PARAができて1年経ちました。ずっと、つくっています。
法人にし、スタッフや出演者や参加者と契約書を交わして支払いするという当たり前の体制を整備するまでに1年かかってしまいました。また、無自覚に発生する様々な問題を訴えるための第三者相談窓口も準備が進んでいますが、どちらも本来なら開館前に形にするべきことです。
PARAがつくっているのは、まず仕組みや状況です。まだできていません。人と人の間に起こる上演芸術の当たり前を一つ一つ考え、話し合い、繕い、つくり、仕組みに落とし、改善していく。それは、尊厳を踏みにじる野蛮な行為と戦う、数少ない有効な道だと考えています。現代芸術の団体が、理解しないまま形式を整えるのは良くないので時間をかけ丁寧につくっています。
けれど1年やってみて形が見えてきました。つくる技術と知識と体験が関係者に積みあがることで自律した活動して行くアーティストやスタッフを守れる組織になり、近いうちに主宰も交代することを宣言します。
つくっていく最初に、まずは共に多様に関わっていただければありがたいです。
冒頭のあいさつ文を、PARA開館から1年ずっとサイトに掲げてきました。このテキストの憂慮は現実になっていると感じます。パレスチナをはじめ各地で戦争が激化しました。また、つくっていく役割を担う芸術をとりまく環境も悪化しています。人間の集団が愚かな行為を犯すパターンの変わらなさに気落ちしてしまうことも多い。けれど、とにかくつくり発信し続けないと、と、ますます思います。
わたしたちPARAは集団の変わりにくい愚かさを内包しています。たとえば現状の社会および芸術の世界で強い権力と権威を生み出し兼ねない立場にいる「中年・男性・アーティスト」のファウンダーがリーダーで動いている。僕自身多くの問題を起こしてきました。PARAのスタッフによる企画は増えていますが、まだまだ少ない。そのような集団を変容させ、生まれ変わらせていくことを現場とし、わたしたちは新しい劇場を目指しつくっています。
私たちがいう「つくってます」とはこういうことです。ひとつひとつ引っ掛かりながら考え、イベントやクラスにしてオープンに議論し、それを組織として試し、形にしていきます。
PARA主宰 岸井大輔