自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやる方法を、森崎和江を読みながら考える

講師(リレーション)
回数
8回
曜日
月曜日
時間
13:00ー15:00
日程
2023年 5月8日、5月22日、6月5日、6月19日、 8月14日、8月28日、9月11日、9月25日
定員
10名
価格
30,000円
開講形式
オンライン(録画あり)
関連情報
受付期間4月1日(土)12時〜4月20日(木)24時 こちらのGoogleフォームより、お申し込みください ※お申し込みに関する詳細はPARA WEBの「お申し込み・お支払方法」のページをご確認ください ※最新情報はTwitterで続報します
クラス紹介
※4月10日追記 このクラスにご興味を持っていただいた方々から、開講方法や授業時間の長さ、内容の重さ等の条件で受講が難しいというお声をいただきました。元々は、同じ場に集まって身体性を共有しながらテクストを読むこと・声を交わすことが重要と考えていましたが、このクラスを切実に必要としてくださる方を排除してしまっては意味がないと思い、授業の内容・実施方法を再検討しました。そのため、開講方法や課題図書などが、4月1日の申込開始時点からは変更になっています。ご了承いただければ幸いです。  私は今、元は祖父母宅だった一軒家に住んでいます。築40年超なので、色々ガタが来ていて修繕が必要で、リフォームをすることになりました。今まで「新しくつくる!」とか、「何かに反抗して壊す!」とかはわりと馴染みのある事柄でしたが、先人のつくったものを受け継いで、ちょこちょこ手直しして維持する・守るというのは考えたことがありませんでいした。でも自分がだんだんいい歳になってきたことと、子供を産んだことなども関係しているのか、「どうしたら一代主義を超えられるんだろう?」と考えるようになりました。それってどういうことなんだ、と考えて、「共同性を生きたいということだ。そうでないと、虚しい」という言葉が出てきました。それで、「共同性を生きられる〈場〉が必要なんじゃないだろうか」と思うようになりました。 ということで、自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやろうと思うのです。自宅をアーティスト・イン・レジデンスにする、ではなく、自宅でアーティスト・イン・レジデンスをやる、です。つまり家の住人たち(私と3人の家族)は「アーティスト・イン・レジデンスを運営するための人、それを生きることの主にしている人」ではありません。あくまでこの家はわれわれの生活の場であって、そこを半分ひらき、人を招く。住み続ける住人と、やって来て滞在して去っていく客人のあいだに、現れては消える〈場〉が生まれます。 みなさんには、リフォーム後の西尾家の具体的な間取りや条件を素材に、アーティスト・イン・レジデンスの企画案を考えていただきます。私(と3人の家族?)にプレゼンしていただいて、いい企画は提案してくださった方をディレクターとして、実行したいと思っています。    このアイディアを練っていくに当たって、森崎和江のテクストを毎回の講座の中でみんなで読みます。森崎和江は、1927年に植民地時代の朝鮮半島・大邱に生まれて慶州で育った詩人です。朝鮮の人と風土に育まれた森崎は、敗戦後、自分が(無自覚な)侵略者だったことを知り、「日本人の女」としてどうやって生きていけばいいのかまるで分からなくなります。そして筑豊の炭坑町で労働者たち、中でも女たちと深く関わりながら、ゼロから自前の言葉を紡ぎ、思想を編んでいきます。  炭坑労働者たちとの共闘、女坑夫たちとの共生、あるいはからゆきさんからの聞き書きに見られる〈産むことを許されなかった女たち〉へのまなざし。私は森崎の活動に、隔てられた両側から共同性を生きようとする思想を感じます。ある線引きの向こう側にいる人と共にあろうとすることが、こちら側にいる自分の生きるためにどうしても必要であるという感覚。その実践と、彼女がぶつかった壁、そしてそこに残された問題を、『闘いとエロス』(1970年)という著作を通して見ていきます。   読むことの共同性を大事にしたいので、集まってその場で少しずつ音読しながら話しながら読み進める+講師による解説、というスタイルを基本にします。(予め課題図書に目を通してご参加いただけるのはもちろん大歓迎ですが、読めていない状態で参加してもOKということです。)2時間の中で、森崎和江のテクストを読むことと、アーティスト・イン・レジデンス構想についてディスカッションすることに半分くらいずつ時間を使う予定です。うち2回はゲストに田中みゆきさんをお招きします。
選抜方法
作文(クラスの志望動機800字程度)
申込期間
2023年4月1日(土)12時—4月20日(木)24時
申込方法
最新情報はTwitterで続報します

スケジュール詳細

①5/8 森崎和江のテクストを読む/西尾家でアーティスト・イン・レジデンスをやりたい話 →課題1:たけし文化センターについて調べてくる ②5/22 森崎和江のテクストを読む/課題1の発表 ③6/5 森崎和江のテクストを読む/西尾家の状況をヒアリングする ④6/19 森崎和江のテクストを読む/レジデンスに誰が来たら面白いか? 何をするか?   課題2:西尾家でやるアーティスト・イン・レジデンスの企画書を書いてくる 課題3(任意):クリエイティブサポートレッツの「タイムトラベル100時間ツアー」に参加する 課題4(任意):加納土監督のドキュメンタリー映画『沈没家族』の自主上映会@PARAを企画・運営する   ⑤8/14 森崎和江のテクストを読む/課題2を検討 ⑥8/28 森崎和江のテクストを読む/企画を実施する上で、レジデンスでの過ごし方のルールを考える →課題5:自分の企画について、過ごし方のルールを明文化してくる ⑦9/11 森崎和江のテクストを読む/課題2を検討 →課題6:課題2と課題5を踏まえて、西尾家を活用したアーティスト・イン・レジデンス企画の企画書を完成させる ⑧9/25 課題6のプレゼン会   課題図書:森崎和江『闘いとエロス』 関連テクスト:森崎和江『まっくら――女坑夫からの聞き書き』、『非所有の所有』、『第三の性』、『慶州は母の呼び声』、『からゆきさん』等、授業の進行に合わせて随時講師の方で紹介・解説します。
※この日程の中で2回、ゲストに田中みゆきさんをお迎えします。ご参加いただく日程は決定次第、更新します。

ゲスト 田中みゆき

キュレーター/プロデューサー。「障害は世界を捉え直す視点」をテーマに、カテゴリーにとらわれないプロジェクトを通して、表現の捉え方を障害当事者含む鑑賞者とともに再考する。「音で観るダンスのワークインプログレス」「オーディオゲームセンター」「ルール?展」展覧会「語りの複数性」など。2022年、ACCの助成を得てニューヨークで障害者コミュニティと芸術について調査を行った。

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