東浩紀『存在論的、郵便的』を読む
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東浩紀の「誤配」という概念は、1998年の『存在論的、郵便的——ジャック・デリダについて』でデリダのテクストの読解を通して形作られてから、25年の時間を経てもいまだにアクチュアルであり続けています。ありていに言えば「耐用年数」がめちゃめちゃ長い概念で、これに並ぶものをここ30年の(ひょっとして戦後から数えても)日本思想の流れのなかに見つけるのは難しいかもしれません。
この持続性はもちろんその後の東自身のさまざまな実践(サブカルチャー論や観光客論、ゲンロンやシラスの立ち上げ等)によるところもあるのですが、逆に言えばそれだけ「誤配」あるいは「郵便的」は、たんなるアクロバティックな思弁ではなくそれ自体ですでにきわめて実践的な概念であったとも言えます。
しかし「実践的な概念」とはなんでしょうか。「実践的な命題」や「実践的なスローガン」ならわかりますが、「概念」が実践的になるとはどういうことでしょうか。それに誤配とはそもそも、そのまま実践しようと思ってできるものではありません(狙って間違えるのを間違いとは言わない)。
つまり誤配は「反主意主義的な実践」と呼べるような逆説的なものを概念化していて、それは平倉圭の「失認的非理論」 や千葉雅也の「有限化」、あるいは國分功一郎の「中動態」など、明示的にであれ結果的にであれ、今世紀に入ってからの日本哲学(???)のひとつの流れの始点となっています。
この講義では『存在論的、郵便的』の読解を通して、「誤配」が生まれてきた概念的な磁場のようなものを丁寧に解きほぐしていきます。哲学的な概念の特徴はそれを単離してしまったとたんに陳腐なスローガンや人生訓になってしまうところで、むしろ「誤配」を取り囲む他の概念や議論のステップのなかにこそ、この概念の力の源を突き止めるとっかかりがあり、そこから「誤配」をあれこれのものに応用するのとは別の実践可能性を見つけることができるかもしれません。
したがってこの講義で重要視するのは明示的な主張を列挙しそこからまだ「使える」ものを選り分けたりするようなことではなく、スタイルとしては古式ゆかしい文学部的な「講読」スタイル、つまり各回の担当者が所定の範囲のレジュメを作ってきておこなうものになります。僕は難しい理論的な文章を読む力を付けるのにいちばん手っ取り早いのはレジュメを作って人前で発表すること、他人が作ったレジュメが議論の骨格をつかめているのか吟味することだと思います。そういう意味でこの講義でいちばんのギフトは「読解力」かもしれません。
カリキュラム
1. イントロダクション、『存在論的、郵便的』1-1
2. 1-2
3. 1-3
4. 2-1a, b
5. 2-2a, b
6. 2-3
7. 3-1a, b
8. 3-2
9. 3 appendix
10. 4-1
11. 4-2, 2'
12. 4-3
13. 4-4a
14. 4-4b
15. 4-4c
回数
15回
定員
20名
価格
100,000円(学生50,000円)
日程
2023年
5月8日、5月22日、6月5日、6月19日
8月7日、8月21日、9月4日、9月18日、
11月6日、11月20日、12月4日、12月18日
2024年
2月5日、2月19日、3月4日
(予備日)
2024年
3月18日、3月25日
曜日
月曜日
時間
20:00ー21:30
選抜方法
先着順
開講形式
このクラスは対面のみで行いオンライン受講はできません
申込期間
2023年4月1日(土)0時—4月20日(木)24時
申込方法
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