大人の読み聞かせ『恋愛のあなた(たち)・断章』

第二部ゲスト公開 5月18日(土)ファヨル入江容子 5月19日(日) 幸村燕
魔法めいたものにすがるとか、ささやかな秘密の儀式をとりおこなうとか、誓願をたてるとかいった行為は、教養の如何を問わず、恋愛主体の人生にはかならず存在するものである。¹
 
 わたしの本棚は20コマの常設スペースと本棚から仮設で突き出した作業机の特集スペースで構成していて、集中して乱読するときはだいたいこの作業机にいる。これが居心地のいい私の読書空間なのだけれども、外からは公園で遊ぶ子どもの声が聴こえたり、隣家のラジオと思われる音がくぐもって伝わって来たり、夜中には遠くの電車の音が響いてきたりする(この電車の音は前のマンションが新しくなって建物の向きが変わって聞こえるようになった)。読書するという私の身体は小さな箱に納まる大きさだけれども、読書体験する身体は広いところと通じている。  ここで読めない本というのもあって、たとえば最近好きなSF小説はどうしても電車とか飛行機とか移動する中じゃないと読めない。隣に知らない人がいてそれで落ち着いて月面着陸に成功する。やっぱり読書は個人的な行為でありながら、他者との空間で体験されるものなのだと思う。  「大人の読み聞かせ」は、今回、神保町のPARA、そこは人が集まる劇場で、稲継美保さんが声に出して読んでくれる読書。読むテキストを集めてくるという私、ドラマトゥルク、劇場の言葉の手仕事と、稲継さんがその言葉たちを声に出して聞かせてくれるという俳優の言葉の手仕事があって、そんな読む手を「あなた(たち)² 」に差し出す。おずおずと、震えながら、けれども選ばれた1枚のカードのリーディングは時に毅然として。ひろげられるカードは24枚? 52枚? 77枚? 何枚になるかな。  PARA版「大人の読み聞かせ」、遊びながら、曖昧な私(たち)の未来を占います。
構成・演出 川口智子
 
 桜の儚さに憧れるとしても、わたしたちはしぶとく続いていたい。PARAは企画劇場として、作り続けていくための色々なことを一緒に考えて試していきます。作る方法、続ける方法、そうして生き続ける方法。今回の上演で出自の様々なテキストを探る手つきは、作ることそのものの模索と近しいことかもしれません。劇場を開き、テキストを開く。その偶発的な出会いを作っています。 PARAスタッフ 旦妃奈乃
 

 
¹ ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』「魔法」 ² サラ・ケイン『4.48 PSYCHOSIS』”But you have friends.”より
 

会期

2024年5月18日(土)・19日(日)
日時2024年5月18日(土)19時 2024年5月19日(日)15時   第一部 monologue(60分)     構成・演出 川口智子     出演    稲継美保   第二部 dialogue (50分)     18日(土)ファヨル入江容子×稲継美保 ×川口智子     19日(日) 幸村燕×川口智子 ⚫︎開場は、開演の30分前から行います。
券種・料金3,000円 ⚫︎当日現金精算 ⚫︎PARAコース生・フリーパス・サポーター無料適用
会場PARA2階 東京都千代田区神田神保町2-20-12 第二冨士ビル2階 https://goo.gl/maps/th8HqeciE7dRfDdK8 ⚫︎会場まではビル内の階段を利用してご来場ください。  階段の利用が難しい場合はお問合せください。
ご予約→https://forms.gle/eEnFSRfpfr2QpGKv8

キャスト・スタッフクレジット

構成・演出川口智子
出演稲継美保
ドラマトゥルク斎藤明仁
スタッフ旦妃奈乃 幸村燕
宣伝美術旦妃奈乃
企画・制作PARA
お問い合せPARA para.jimbocho@gmail.com