英文精読 グレアム・ハーマン『芸術と対象』 第3章「リテラルでなく、演劇的であること」

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クラス紹介
このクラスでは、Graham Harman, Art and Objects (Cambridge, UK: Polity, 2020) の第3章を精読します。 [授業の形式について] このクラスは、大学・大学院の哲学専攻でおこなわれる授業とおなじように、英文を訳読していくスタイルでおこないます。毎回何人か担当者を決めて、予習をしてきてもらい、一文ずつ訳していってもらいます。まずは、ゆっくりと文の意味を押さえていき、テクストの意味を正確に取ることを目指します。そしてそのうえで、それをベースにして哲学・美学的な内容について全員でざっくばらんに議論していく、という仕方で進めていきます。 初回は、講義形式でおこないます。講師が、第3章までの議論について簡単にまとめて説明します。また、訳読する際に気をつける点などについてもお話しします。2回目以降は、みなさんに訳読をしてもらいながら進めていきます。進み具合にもよりますが、第3章のすべては読みきれないかもしれません。最終回はふたたび講義形式でおこない、講師が第3章以降の議論について紹介します。 [取り上げるテクストについて] グレアム・ハーマンは、オブジェクト指向存在論の提唱者として知られる現代の哲学者です。ハーマンは初期の頃から芸術・美学を重視し、「美学は第一哲学である」と主張してきました。本書『芸術と対象』は、そんなハーマンがはじめて丸々一冊を費やして、美学理論を展開した著作です。 今回取り上げる第3章は、マイケル・フリードについて論じられた箇所です。フリードは、鑑賞者との関係を前提した芸術作品を演劇的なものと呼んで、批判します。これに対してハーマンは、むしろ演劇性を重視するという方向で議論を展開していきます。ハーマンは、芸術作品も鑑賞者も自律した存在者だと考えますが、芸術においては、鑑賞者が作品に引き込まれ、それと関係することもまた重要になる、と主張します。ハーマンにしたがえば、この〈作品+鑑賞者〉という関係そのものが、ひとつの新たな自律した存在者となります。さらに、このとき鑑賞者は、まさに演劇的な仕方で作品と関係しているのだと言います。鑑賞者は、自らの深みへと退隠する作品に成り代わってそれを没入的に演じる──これが、鑑賞する際に起こっていることだとハーマンは考えます。この美学的主張の核をまとめれば、〈鑑賞するとは演じることである〉と表現できるでしょう。ハーマンは、この演劇的な美学理論を展開する際に、スタニスラフスキーに由来するメソッド演技法を参照しています。 演劇が生じる場・劇場であることを目指すPARAで、ハーマンの演劇的美学についていっしょに読み解いていきましょう。 参考資料:飯盛元章「ようこそ!狂気の怪奇オブジェクト空間へ[本授業の効能1 哲学的文献の読み解き方が身につく] 哲学の研究者は、テクストを細かく読んでいく技法をもちいています。訳読の担当をすることにより、じっさいにその技法を体感することができます。 [本授業の効能2 ハーマンの美学理論について理解が深まる] ハーマンのオブジェクト指向存在論と芸術が関係しているということについては、現代思想に詳しい人でしたらどこかで聞いたことがあるかもしれません。このクラスでは、そこからさらに数歩踏み込んだ理解を得ることができます。
回数
10回
定員
20名
価格
50,000円(学生20,000円)
日程
2024年 1月26日、2月2日、2月9日、2月16日、2月23日 3月1日、3月8日、3月15日、3月22日、3月29日
曜日
金曜日
時間
20:00ー21:30
選抜方法
先着順
開講形式
このクラスは対面のみで行いオンライン受講はできません。
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